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泣ける話

2011/07/14 (Thu)
俺には六歳の妹がいる。そして一つ上の姉もいた。
三年前、当時妹は三歳、俺は高校二年、姉は受験生だった。姉は受験生なので夜遅くまで勉強し、朝なかなか起きて来ないので妹が姉の目覚まし役だった。
「お姉ちゃん起っきして!」と、毎朝姉を起こしていた。姉は起きると必ず、妹を一度ギュッと抱きしめて布団からでる。そんな姉と俺はというとケンカの多い姉弟だった。俺たちがケンカするたびに妹は泣きじゃくり、母さんに怒られた。
ある日の朝、俺と姉は洗面所の鏡の優先権をめぐって、いつもの言い合いに。
「死ね!」「消えろ!」とか簡単につかった。結局姉は学校に早く行って、学校のトイレで髪を整えると言って家を飛び出していった。俺は普通の時間に家を出た。大通りを歩いていると、人だかりがあって、救急車が止まっていた。その人だかりの隙間から見えたのは、頭から血を流して倒れている姉の姿。
「姉ちゃん!」
俺は鞄をほうりなげ、人だかりに割って入った。
「姉ちゃん!姉ちゃん!」
返事はない。
すぐさま救急車に俺も乗り込み、姉は病院に運ばれた。姉は即死だった。居眠り運転の車が突っ込んできて姉をはねたらしい。俺はベットの上の姉の姿が見ていられず、病室の外の椅子で泣いた。姉の前では涙を見せたくなかった。なんか弱いところを見せたくなかった。この期に及んで俺はなに意地はってんだ。
母さんが妹を抱きかかえて、走って息をきらしてやってきた。俺と病室に入った母さんは、姉の変わり果てた姿を見て泣きくずれた。俺は涙を我慢した。すると妹が姉のもとに駆け寄り、
「お姉ちゃん、起っきして!寝ちゃだめだよ、お勉強できないよ!ねえ、起っきしてよ、お姉ちゃん!」
涙があふれた。我慢なんてしなくていい、我慢なんてできない。俺は悲しさと自分の愚かさに泣いた。何で逝くんだよ、朝ケンカしたやんか、まだ大学入試終わってねえよ、あんなに頑張ってたのにこれで終わりかよ。自分の中でたくさんの感情がいっぺんに出た。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
妹はまだ姉の腕をつかんで話しかけている。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん起っきしない。」
「もう、お姉ちゃんは起っきしないんだよ。」
そして俺は妹をギュッと抱きしめた。
俺は今姉の志望していた大学に通っている。姉の夢を俺が叶えると誓った。
そして、三年前から毎日の日課として続いていることがある。それは毎朝妹をギュッと抱きしめて一日が始まること。妹に嫌がられる日がくるまで俺は続けるつもりだ。

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