君が思い出になる前に
ちょっと昔の話……
まぁゆっくりと聞いていってよ
俺には昔からつるんでる4人の親友がいる
そいつらとは腐れ縁って言いたいほど常に一緒だった
遊ぶのも、勉強するのもちょっとした悪事を働くときもな(笑)
時には喧嘩もした
男5人もいれば殴り合いなんてコミュニケーションみたいなもんだ
「ごめん」の一言が無くても時間が解決してくれた
そうそうこんなこともあったな
俺たちの中で唯一彼女がいる『シュウ』
でも彼女に全然かまわないで俺たちと遊んでいたらフラれた(笑)
バカだよな(笑)
━…夏だった
そのシュウが死んだのは
アイツの趣味のバイクでの事故……
車の陰から飛び出してきた女の子をかわしたら反対車線のトラックと衝突
しぶといことに女の子に「怪我なかったか?」と聞いたらしい
女好きのアイツらしいよ(笑)
そして病院へ搬送中に心停止
病院に駆け付けたらおばさんが泣いていて
顔には白い布が置いてあった
俺たちは泣けなかった
死んだことを認めたくはなかった
「おい!起きろよ!」
と言ってもダメだったな……
数日経って葬式当日
クラスメートたちが家に集まっていたが俺たちは行かなかった
「俺たちの別れがこんな簡単なものなのか」
って感じだったよ
墓の前から誰もいなくなったのを見計り、俺たちは墓の前へ
「こんなとこに入っちまうんだなぁ」
「そうだな……」
と暗く会話をした後は沈黙
シュウとの思い出を思い出していた
たぶんみんな同じ
気付くとみんな涙を流していた
その時、後ろから
「来てくれてありがとね」
と声が聞こえた
あいつの両親だった
逃げようてしたその時おじさんが
「来ないことは分かっていたさ
たぶんシュウも来ては欲しくなかったはずだ」
と優しくて少し悲しい笑顔をした
「息子は……シュウは後悔してないよ
君たちと出会えた人生に
兄弟のように育った君たちが他人と同じ別れ方じゃ嫌だよな?
でもたまにでいいから会いに来てやってくれないか
シュウと私たちに」
俺たちは、おじさんの優しい言葉に返事が出来なかった
したくても出来なかった
涙が視界を邪魔して鼻水が詰まって上手く話せなかった
ただ「ゔん゙」と一言答えた
━━━……
明日はシュウの命日
社会人になった俺たちが
地元へ戻りシュウに会う日
もちろんアイツの好きなマルボロとキリンを持っていく
墓の前に集まった俺たちはいつものように飲み会になっちまう
俺たち『5人』の友情は永遠だ……!