一週間で体重が10キロ落ちる前の日私はあなたの死を告げられた。
あなたは私の上司だった。
新入社員時代から見ててくれた直属の上司。
あなたに怒られて声が出なくなったことがある。
電話でも怒られて途中できられたりしてた。
でも今では声すら聞けない…
(もうこなきゃいいのに…)
って思ったこともある。
でも本当にこなくなってこんなに寂しいとは思わなかった。
怒られた記憶ばかりだけどたった1回誉められたことがある。
そのたった1回が私に力をくれたのにその4ヶ月後あなたは自らの命を断った。
信じられなかった。
でも涙があふれて止まらなかった。
かかってくるはずのない電話。
くるはずがないのに…。
外を眺めたりの日々が続いた。
何を思って自分で逝ってしまったんだろう…。
葬式は家族のみで行われた。
四十九日が過ぎたころ私はあなたの実家に伺った。
絶対に泣かないと思っていたのに…。
でる涙もないと思っていたのに…。
私よりはるかに辛い家族の前で泣き崩れてしまった。
久々に見るあなたは写真でした。
ぽっちゃりしてたのに骨だけになってました。
もう怒られることもない。
『何しにきた!仕事はどうした!?
こんな所にくる暇があるなら
売り上げをのばすことを考えろ!
時間がもったいないだろう。
バカかお前は!』
いなくなったあなたは天国からもこう怒っているんだろうな…
私はこの日また思ったんです。
あなたに怒られてるような仕事をしていてはダメだと。
あなたからは多くのことを教えてもらった。
それを活かしていかなきゃ罰があたるって思ったんです。
私は今とても仕事を頑張っている。
その中で初めて思ったことがある。
【忘れないけど思いださない】
ってこと…。
あなたがいなくなった時期のことを思い出すと
その時の自分の状態が蘇ってきて辛くさせるから…
いつもあなたに頼っていたあたしを…
でも思い出さなくったっていつでもあなたは私の傍にいて怒ってくれてる気がする。
そろそろおばあちゃんが他界しそうです…
年内中だそうです。
この前お見舞いに行きました。
イマイチ実感がわかなかった。
もうすぐお別れなんて考えられなかった。
弱々しく病院のベッドで寝ているおばあちゃん。
私の目の前に今いるのにもうすぐお別れなんて分からなかった。
喋るのも辛そうなおばあちゃんは小さな目で私をじっと見ていた。
心なしか目が潤んでいるように見えた。
手を握ってみたもの凄くガリガリでしわしわ。
握っても握り返すことは出来ないらしい。
でも妙に暖かかった。
おばあちゃんの体温を感じで私も目が潤んだ。
その時初めて実感できた。
この暖かい手に触れる事が出来なくなる悲しみ。
もう笑顔も見られない。
死なないでほしい。
ずっと、
ずっと生きててほしい。
帰ろうとすると入れ歯がない口でゆっくりと『いやだ』と言っていた…。
『これが最後になるかもしれないのに』とも。
おばあちゃんは手を離さないようにしていた。
でも弱々しすぎてすぐに振りほどける。
出来ることならずっと握っててあげたかった。
夜中、病院で1人死を待つおばあちゃんの傍にいてあげたかった。
涙をこらえて
『またね』
と言った。
今回が多分私にとって初めて人の死を悲しむ瞬間になるだろう。
夜の電話に私は怯え続けている。
ずっと一緒に居てほしかった…。
せめてずっとおばあちゃんの手を握っていたい。
そう思う。