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泣ける話

2011/02/13 (Sun)

看護学生だった頃の話。
受け持った患者さんはずっと昔に家族と生き別れになった方で、
生活保護をうけながら1人で生活されている方でした。
面会にくる家族もなく、もう最終末期、今週一杯持つかという
状況でした。
ある日、検温に行き、何事もなく終え、部屋を出ようとすると
酸素マスクのしたで何か必死に言ってる。何回聞いてもうまく
聞き取れず、繰り返すこと10回近く。よく聞くと、「水」
と言っていて、吸い飲みから水を口に入れました。すると満足
され、目を閉じました。それを見て部屋を後にしようとすると
消えてしまいそうな声で「あぁ・・・・」と聞こえ、振り返ると
手招きしています。
また何かを必死で言っていますが、聞き取れず、「ごめんなさい、
もう一度おっしゃっていただけますか?」と言うと、酸素マスクを
外し、とぎれとぎれに、しかしその方にとって精一杯の声で
「あ・・・り・・・が・・・と・・・」
と私の手をとり、おっしゃいました。毎日悪くなっていく患者さん
をみるのが辛くて、実習に行きたくなくなってしまったり、正直
その患者さんを見るのが恐くなっていたので、そんな自分に情けなく
なり、思わず患者さんの横で泣いてしまいました。

その患者さん、翌々日の朝、私が病棟についてしばらくして
お亡くなりになりました。なくなる瞬間にもご家族の方は誰もおらず、
私と病棟スタッフが立ち会いました。

あの「ありがとう」は今まで聞いた「ありがとう」の中で、
最も重たいありがとうでした。私のほうがお礼を言いたい気持ちで
一杯です。
 

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