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泣ける話

2010/05/28 (Fri)

長文でスマソ

カーチャン……
手が付けられないほどやんちゃで、生意気で言うことを聞かない
こんな俺を今まで育ててくれてほんとありがとう

俺が幼稚園だったとき親が離婚した
理由は父の暴力だった
ギャンブル漬けの父は仕事を終えて帰ってくるなり
『飯!風呂!』だった

日曜日、久しぶりに家族で出かける事になった
行き先は競馬場だった
でも俺はその競馬場に隣接する公園でカーチャンの作った弁当を
カーチャンと二人で食べグルグル回る遊戯に乗せてもらいはしゃいでいた
その途中に急に大雨が降ってきたがしばらくカーチャンは
グルグル回すのを止めなかった
二人ともびしょ濡れになって父のところに行く途中、
カーチャンは泣いてた
幼かった俺は雨に濡れたから悲しいんだろうと思い
励ましたが今思えば、めったにない家族でのお出かけに
息子を競馬場にしか連れて行かない父、
それを止めることができない自分の情けなさに涙したんだろうと思う

小学校に上がったある日
父は帰ってくるなりカーチャンと喧嘩していた
俺はおびえながら隣の部屋でジッとしていた
しばらく口論が続いたあとカーチャンの叫び声と共に
俺のいた部屋のふすまがバリバリと破れ
バターン!と倒れてきた
倒れたふすまの上にカーチャンが倒れていた
父が殴り飛ばしたのだ
次の日、カーチャンと俺は新聞配達のパートに行ってくると父に言い
九州の親戚の家に転げこんだ

その後しばらくして父とカーチャンの離婚が成立した
親戚は温かく迎え入れてくれた
生活費のないカーチャンは昼は服の販売夜は水商売で俺を養ってくれた
いとこの姉ちゃんは俺が行ったことのない動物園や遊園地に連れて行ってくれた

小学校の転校手続きも済んで学校へ行き始めると
友達もでき、父の暴力もない毎日が楽しかった
そんな中、俺が事故にあい片目が失明した
真っ先にいった病院では回復の見込みはないと言われた
カーチャンは金がないのに色んな眼科を探してきては俺を診察に連れて行った
半年ほど色んな病院を転々としたが、結局俺の片目は光を失ったままとなった

━━━……

カーチャンに休みはなかった
九州に来てからずっと働き続けていた
心も体もズタボロだったと思う
そして俺の事故……
途方に暮れたカーチャンはある夜、俺にこう言った
『二人で死のうか……?』
俺は嫌だと言って夜も眠らずに大泣きした
そんときはホントに怖かった
片目が失明したことはどうでもよかった
カーチャンと一緒に居るだけで良かった
それが無くなるのが怖かった
その晩はカーチャンも大泣きしていた
俺はいつの間にか寝ていた
起きたら学校が始まっている時間だった
カーチャンは
『今日は学校を休みなさい』
と言って、俺をデパートに連れて行った
『なんでも好きなものを買ってやるよ』
と言われた
金がないのを知っていた俺はいらないと言ったが
カーチャンは
『ダメ!好きなものを買いなさい』
と言ってくれた
俺はカーチャンと一緒にできるファミコンのソフトを買ってもらい家でカーチャンと二人で遊んだ

また楽しい日々が始まった
カーチャンは仕事が出来る人だったのか洋服の販売員として正社員となり水商売は辞めた
親戚の家から、二人でボロボロのアパートに引っ越した
これでやっと普通の暮らしができる

……そう思った矢先
また俺が事故にあった
今度は内臓の血管が切れ意識不明の重体だった
全身の血管が内臓に留まり脳の機能が停止したのだ
緊急の手術が必要と言われすぐに手術を開始した
血液が回っていない俺にはすぐに大量の輸血が必要だったらしく
その時カーチャンは泣きながら俺に輸血した
『私は死んでもいいからこの子に血を与えて下さい!』
と泣いて頼んだそうだ
そのおかげで九死に一生を得た俺は見る間に回復し2か月で退院できた

親戚に聞いたのだが手術やら入院やらの費用で借金をかかえたらしいカーチャンは一生懸命働いた
俺を養うのと、借金を返すために 自分の楽しみは一切無いように見えた
販売員はキレイじゃないといけないと言っていたが化粧品も安物を使い
服は必ずバーゲンでしか買わなかった

いつも晩飯は俺の分だけ用意されていたカーチャンは
『仕事の帰りに食べてきた』
と嘘をついた
冷凍の唐揚げが安かったから俺は『唐揚げが好き』とカーチャンに伝えた
それを覚えていたのか毎年、俺の誕生日にはケーキと唐揚げを出してくれた

中学を卒業して働くと言った俺を高校、専門学校へと進学させてくれた
そして俺は今社会人を経て独立しようとしている

カーチャン。
今でもこんなわがままな息子でごめんな
好き勝手やってんのにカーチャンの人生を俺に捧げてくれてありがとう
こんなボロアパートじゃなくて自分の家を持ちたいっていうカーチャンの夢は俺が叶えてやるからな
頑張ってデッカイ家を買おうな
老後は俺に任せとけ
カーチャンは今まで働いた金を全て俺の為だけに使ってくれたから、貯金なんて無いの知ってるよ
これからは俺がカーチャンの為に金を稼いでやるからな
好きなだけ遊んでくれよな

カーチャン、ありがとう

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泣ける話

2010/05/26 (Wed)

日曜日の午前10時

かなり落ち込んだ様子で

弟が帰宅してきた

兄:「あれ?もう帰ってきたの?」

弟:「うん」

兄:「あー!すっごい服汚れてるよ。汚いなぁ」

弟:「ごめん」

兄:「あ!膝怪我してる」

弟:「転んだ」

兄:「帽子脱いでよ」

弟:「やだ」

兄:「脱げったら!」

弟:「やめてよ!」

兄:「やっぱり!おでこも怪我してる」

弟:「うるさい」

兄:「どうしたのさ?」

弟:「うるさいっ!」

兄:「ケンカしたの?痛い?」

弟:「転んだけど痛くない」

兄:「転んだだけで、そんなにいっぱい怪我しないよ。どうしたの?」

弟:「うんとね、公園でケンカした」

兄:「どうして?」

弟:「あのさ、トモ君とさ、ケンちゃんとさ、アヤちゃんとさ、トンネル作って遊んでたのに!」

兄:「砂場?」

弟:「うん。砂場」

兄:「友達とケンカしたの?」

弟:「ちがう!」

兄:「どうしたの?」

弟:「アヤちゃんのスコップ盗ってさ、トンネル壊したんだ」

兄:「友達が?」

弟:「ちがうー!」

兄:「どうしたの?」

弟:「だって!五年生なんだもん……。お兄ちゃんよりおっきいし」

:「五年生とケンカしたの?」

弟:「した」

兄:「そっか」

弟:「うん」

兄:「どうなったの?」

弟:「スコップ返してくれなかった」

兄:「アヤちゃんは?」

弟:「泣いちゃった」

兄:「トモ君とケンちゃんは?」

弟:「泣いちゃった」

兄:「お前は?」

弟:「ケンちゃんとトモ君とアヤちゃんと帰った」

兄:「そっか。偉いな」

弟:「うん」

兄:「そっか……」

弟:「!?そうだ!父ちゃんは?」

兄:「父ちゃんはダメだよ」

弟:「まだ元気ないの?」

兄:「まだ風邪治ったばっかりだから」

弟:「じいちゃんいる?」

兄:「今、買い物行ってるよ。お昼からばあちゃんも来るって」

弟:「ホント!?」

兄:「うん」

弟:「ばあちゃんくるんだぁー!」

兄:「じいちゃん帰ってきたらご飯だから、着替えてきな」

弟:「うん!」

━━━……

兄:「ただいまぁ」

弟:「あれ?兄ちゃん、どこ行ってたの?」

兄:「散歩」

弟:「ばあちゃんも来たよ!」

兄:「そっか」

弟:「じいちゃんがね、お寿司買ってきたんだよ」

兄:「そっか」

弟:「ばあちゃんはね、ケーキ買ってきたんだ!」

兄:「すごいね」

弟:「あのね。明後日ね、兄ちゃんの誕生日なんだよ!」

兄:「うん」

弟:「だからね、じいちゃんとばあちゃんがね、みんな揃ったからね、今日ね、お祝いしようって!」

兄:「そっかー」

弟:「良かったね!」

兄:「うん!」

弟:「みんな待ってるよ!」

兄:「父ちゃんは?」

弟:「父ちゃんね、すっごい元気になったって言ってる」

兄:「良かったね」

弟:「うん」

兄:「じゃあちょっと着替えてくる」

弟:「あれ?兄ちゃん怪我してる」

兄:「さっき転んだ」

弟:「ドジだなー」

兄:「ドジだね(笑)」

そして兄は笑いながら
下駄箱の上にスコップを置いた
 

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