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泣ける話

2013/03/27 (Wed)
三歳ぐらいの時から、毎日のように遊んでくれた1コ上の兄ちゃんがいた。 
成績優秀でスポーツ万能。しかも超優しい。 
一人っ子の俺にとって、ほんとに兄ちゃんみたいな存在だった。 
小4の時、真冬にサッカーしてて 
林に入ったボールを取って戻ってきたら兄ちゃんが倒れてた。 
慌てて抱き起こしたら吐いちゃって 
その時は風邪ひいてるって言われてバイバイした。 
しばらくして入院したって聞いて、病名も知らないのにお見舞いに行った。 
退院できたけど学校には滅多に来なくなった。 
外で遊んじゃいけないらしいんで、毎週土日は兄ちゃん家にくにおくんをやりに行った。 
 
よく兄ちゃんのママンから「来てくれてありがとうね」って言われて 
近所のオバチャンからは「○○君と遊んでるなんて偉いわね」って言われた。 
言葉の意味が俺にはさっぱり分からなかった。 
(はぁ?友達なんだから当たり前の事じゃないの?) 
純粋にそう思えるぐらいバカなガキだった。 
しばらくしたら絶対良くなって、また外で遊べるって思ってた。 
親にも兄ちゃんのママンにも、そのうち良くなるって言われたし。 
ある日、やけに兄ちゃん宅に抜け毛が多いなって事に気付いた。 
身長も俺のほうが上になったし、外に出ないから肌真っ白だし、腕も超細いし。 
その事を親に話したら、脳腫瘍っていう難しい病気なんだよって初めて聞かされた。 
兄ちゃんがあんまり長くないって事、なんとなく分かった。 
それから急に顔合わせるのが辛くなった。 
遊びに行く機会が段々減っていって、最後は全く遊ばなくなった。 
しばらくして、晩飯の時間のニュースで 
「病気と闘う中学生」みたいな感じの特集に兄ちゃんが出てた。 
見るのが嫌になってチャンネル変えた。親に思いっきりビンタされた。 
 
結局会う事になったのは2年ぶり、兄ちゃんが棺の中に入った時だった。 
兄ちゃんのママンから「何か言ってあげて」って、凄い優しい声で言われた。 
俺が遊びに行かなくなってから、どんな気持ちで毎日家の中で過ごしてたんだろうって 
そう考えたら胸が張り裂けそうになって、何も言葉にする事ができなかった。 
結局自分の事しか考えて無かった。もっと沢山会ってあげればよかった。 
本当にごめんね。謝っても謝り切れないけど 
あれからは身近な人を、いつでも大切にしようって思えるようになったんだ。 
今年も線香あげに行くよ。

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